おじいちゃんの証言

私のブログで紹介している、ブログ仲間の90歳のおじいちゃん。
中国での戦争体験をブログに綴っていらっしゃいますが、最近楽天ブログに移転されたようです。

楽天ブログは、なかなか使いやすそうですね・・・↓
http://plaza.rakuten.co.jp/taishouojiichan/diary/?ctgy=1

縁あって、直接お会いする事もでき、その証言についてこのブログでも紹介していますが
中国での戦争のきっかけになった盧溝橋事件その場にいらっしゃった、まさに歴史の生き証人です。さらに、陥落直後の南京にも入城されています。その証言は、とても貴重な物だと思うのです。
少しでも多くの人に見ていただきたいと思います。

今日は、新たに書かれた、入隊当時の話を引用させて頂きます。


1.支那駐屯軍(徴兵~支那へ)
昭和12年、
20歳だった私は日本の徴兵検査に甲種合格をして、
定められた兵隊になりました。
入隊日は3月1日でした。
初年兵として、支那駐屯軍歩兵第一連隊三大隊八中隊五班
配属になりました。
私達は、昭和12年の3月、
日本から貨物船に乗って北京に向かいました。
落ち着いた所が豊台というところです。
まわりが農家、原野というような場所です。
そこで兵隊の生活をしました。
3ヶ月間の訓練を1期と言います。
その訓練を何期か続けて一人前の兵士になるのです。
私達初年兵の2期に入るのが7月になりますが、
その時の訓練において、みなさんがどなたでも知っている
盧溝橋事件というものが発生しました。
これが元で、第二次世界大戦がだんだん大きくなって
日本は敗戦に落ち込むわけであります。

簡単に盧溝橋事件の始まりの経過を申し上げました。

それをなお詳しくこれからお話したいと思います。

2.軍隊での訓練(初年兵の一期)
軍隊の生活の一日は、朝、起床ラッパで始まります。
兵隊達は、班ごとにベッドを並べて同じ部屋で寝起きします。
一斑には班長が1名。初年兵を教育するための助手が2名くらいおります。あとは、10名~20名で二年兵と初年兵が半々くらいです。
起きるとまず点呼があります。
「人員は異常なし!」
身体が悪いのも異常なし、などと回ってきた班長さんに報告をして、初年兵は掃除、二年兵は与えられた仕事の準備、そうして朝飯になります。

ほとんどの初年兵が炊事場に行って、準備されたご飯や味噌汁をバケツに入れたものを持ってきて分配してテーブルの上におきます。
片付け物も初年兵の仕事です。
てきぱきと片付けないでもたついているとびんたがきます。
そのような厳しい生活に入りますが、慣れてくると兄弟のように楽しい場所でもあります。
すべてのことが号令一発で決まって行きます。
大体それが隊内の生活の始まりです。

その後、軍隊の訓練が始まるのです。


兵隊の基本訓練は、まず第一に「気をつけ!」から始まります。
その気をつけの動作、これも基本がありまして、なかなか全体がそろうと言う事はできません。
右左が応対に並んでいる線がきちんと一列に並んでいないとだめです。
出ている靴を出すぎだ、と言って足で蹴飛ばされる人もでてきます。
何回やっても気をつけの姿勢だけをきちんとやることも難しいのです。
それから、右向け、左向け、の練習をします。
それができると、前へ進め。
これも歩幅が決まっています。
詳しくは忘れましたが、大体75センチの幅で歩くのではないかと思います。
歩く早さも大体決まっております。

裸になって体操もします。
地べたに寝転んで這いまくる運動もします。
こういうことは、やはり戦闘につながっておりまして、這いまわって敵に近づくという訓練でもあるのです。
重い鉄砲、背嚢(リュックサックみたいなもの。今のような見てきれいなものではなく、四角張って箱のようなもの)を背負って走り回る訓練もあります。

このような訓練が、大体の姿勢をとって一つの隊列を作り上げます。
これが終わると今度は鉄砲の弾を銃の中にこめる訓練もします。
これができるようになると次は射撃にはいります。
銃はは三八歩兵銃といいます。
その銃を訓練して担いだりおろしたりします。
銃のほかに小さい剣を差しており、
ごぼう剣とも言っておりましたが、それを鉄砲に付けたり、はずしたりします。

鉄砲にはすべて菊の御紋が入っております。
ですから、傷をつけたり、手入れが悪かったりなくなったりすると、これはたいへんです。
民間で言う裁判みたいな規則によって罰せられます。

これが一期の訓練です。
ここまでくると、簡単ではありますが、一人の兵隊ができあがってきます。


この一期の訓練を終え、二期の訓練中に起こったのが盧溝橋事件です。
つまり、初年兵ばかりで訓練をしているところで発生した事件だと言う事です。
おじいちゃんはこう言います。

『あの事件を、日本軍が仕組んだものだと言う人がいるが、それなら初年兵ばかりの訓練中にやる訳は無いだろう』

戦争経験の無い、入隊後半年未満の兵隊達。その訓練中に、戦争のきっかけとなる発砲事件を起こす。

それは、かなりのリスクの高い計画です。やるなら、もっとちゃんとした計画を立てるだろう。
確かに、説得力があるように思います。

そして、軍隊経験について・・・

『非人間的な集団』として描かれる軍隊ですが・・・

厳しいが、人間的な集団でもあった事がその証言から見て取れます。

おじいちゃんの証言を追いかける形になりますが、原文のまま(一部、個人名等は伏せてますが)紹介していきたいと思います。