大阪地裁、『軍命令に根拠』と判断?

太平洋戦争末期、沖縄で『集団自決』が起きた事は事実なのでしょう。
しかし、その『集団自決』は、日本軍の命令で行われたという説もあれば、そうではないと言う説もあるわけで。

この集団自決について、ノーベル文学賞を受賞した小説家、大江健三郎氏の著作、『沖縄ノート』では、この集団自決が日本軍の命令によって引き起こされたものだと断定的に記されているとか。
いや、私自身、沖縄ノートを読んではいないので、大江健三郎氏が断言している』と、断言できない事は認めますが・・・

しかし、この件、どうにも違和感を覚えるわけです。




沖縄集団自決訴訟 「軍命令に根拠」 大阪地裁 元隊長の請求棄却

3月29日8時3分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080329-00000043-san-soci

 先の大戦末期の沖縄戦で、住民に集団自決を命じたとする誤った記述で名誉を傷つけられたとして、旧日本軍の元戦隊長と遺族が、ノーベル賞作家の大江健三郎氏(73)と岩波書店(東京)に、大江氏の著書『沖縄ノート』などの出版差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。深見敏正裁判長は「書籍に記載された自決命令はただちに真実と断定できない」としながらも「(命令の)事実については合理的資料や根拠がある」と認定。原告側の請求をすべて棄却した。原告側は控訴する方針。

 「隊長(軍)命令説」の真実性が最大の争点。判決は、真実性については認めなかったが、大江氏らが命令説を真実と信じた相当の理由があったとして、名誉棄損を否定する「真実相当性」を棄却の根拠とした。

 原告は元座間味島戦隊長で元少佐の梅沢裕さん(91)と、元渡嘉敷島戦隊長の故赤松嘉次元大尉の弟、秀一さん(75)。対象となったのは『沖縄ノート』と、歴史学者の故家永三郎さんの『太平洋戦争』(岩波書店)の2冊。

 深見裁判長は、多くの体験者が手榴弾(しゅりゅうだん)は自決用に交付されたと語っている
▽第32軍は防諜(ぼうちょう)を重視し、渡嘉敷島では部隊を離れた防衛隊員の島民を処刑した
▽日本軍が駐屯しなかった場所では自決がなかった-などとして軍が自決に深くかかわったと認めた。

 大江氏は昭和45年刊行の『沖縄ノート』で、研究者による戦史を引用して隊長命令説を記述。特に赤松元大尉について「集団自決を強制したと記憶される男」「戦争犯罪者」と記した。

 判決後、赤松さんは弁護士に「兄が命令を出していないと分かってくれたのに、なぜ敗訴なんだ」と憤りをぶつけたという。また、梅沢さんは支援者に「控訴審でも戦う」と決意を新たにしていたという。

 一方、大江さんは会見で「裁判所はよく(沖縄ノートを)読み取っていただいた」と判決を評価した。

 集団自決をめぐっては、作家の曽野綾子さんが渡嘉敷島を現地取材した『ある神話の背景』(48年)で疑問を投げかけ、座間味島の生存者の女性が生前、「軍命令の自決なら遺族が年金を受け取れると説得され、偽証した」と告白したことも明らかになっている。



これはなんとも分かりにくい。


「書籍に記載された自決命令はただちに真実と断定できない」
真実性については認めなかったが、大江氏らが命令説を真実と信じた相当の理由があった



真実では無いという疑いはあるけれど、それを信じるにあたって相当な理由があった。だから訴えを棄却する。と。


「(命令の)事実については合理的資料や根拠がある」

これは、赤松大尉が、『軍の命令があった』と認めた文書のことなのかな。
それについては、過去に、沖縄戦の被害者の救済にあたった照屋氏の証言でこういうのがあるけどな。



沖縄集団自決訴訟・昨年12月の照屋氏との一問一答
2008/03/29 09:56
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/526561/
 前エントリでも書いたことですが、昨日は私にとって残念の判決が二つありました。一つは沖縄集団自決訴訟で作家の大江健三郎氏らが勝訴した件であり、もう一つはKSD事件をめぐる最高裁判決で、一時は参院のドンとまで呼ばれた村上正邦氏の実刑が確定したことです。今朝、村上氏に電話して「残念でした」と伝えたところ、さすがに気落ちした様子で「国家権力にはかなわん」と語っていました。

 私は、よく耳にする「権力」とは、一体何であるのかとときどき考えます。特に、ジャーナリズムについては「反権力であるべきだ」という言い方がされ、確かにそれは一理はあるのですが、そもそもマスコミ自体が権力化している中で、ときに空しく響く言葉でもあります。新聞社のトップが、実質的に首相を誕生させたり、ときには大部数をかさに着て政治家を脅かしたりしているわけですから。また、メディアが自作自演する「空気」が、世の中の動きを方向付けていくこともあるのだし…。

 それはともかく、昨日は、
軍命令は集団自決した住民に援護法を適用するために創作されたと証言した照屋昇雄氏について、昨年書いた記事を紹介しました。そこで、本日は、昨年12月17日に照屋氏に対して取材した際の一問一答を掲載しようと思います。このインタビューは、主に「沖縄の言論」に対するもので、直接今回の裁判にかかわるものではなかったことと、テープはとっておらず、私がその場でメモをとった範囲なので全文とはいかないことをあらかじめお断りしておきます。

 《私 沖縄タイムスは照屋さんのことを「捏造」証言の元職員と書いたが、沖縄タイムスから取材はあったのか

 照屋氏 とんでもない。私には聞きにきません。あの記事は、どこからか、「照屋さんの話は捏造だと書いた記事がある」と聞いた。その後、いろいろと分かったが、裁判で被告側が出してきた私の証言が捏造だとする証拠文書はどんなものか。職名がなく、伏せられているし、全部庶務係となっている。あんな書類の作り方はないんです。被告が出してきた書類の方が捏造ではないかとの疑問がある。

 私 沖縄タイムスはその後、訂正やお詫びはしたのか

 照屋氏 やりませんよ。新聞は記事でウソを言って頭からやりこめる。私は援護課、社会福祉事務所…と異動しましたが、当時そこに在籍した人に聞けば、私が分からない人なんていないでしょう。私は主任(旧軍人軍属資格審査員)をしていたのだから、知らない人はいない。逆に、沖縄タイムスが、私の話は捏造だという記事で出してきたKの証言が捏造です。彼は高校卒業後、謄写版刷りのアルバイトをしていました。それがね、私たちが極秘で行った問題(※集団自決を軍命令だったことにして援護法適用を申請すること)を耳にしていた、ということがおかしい。局長ほか数名しか知らんのに。

 私 ちょっとその間の経緯を説明してもらえますか

 照屋氏 確か、昭和26年に本土で特措法ができ、27年に南西諸島にもカネを出そうとなった。その処遇規定の中に、取り扱い要綱があり、22項目があった。戦死した者、スパイ嫌疑でやられた者、部隊から脱走したとされたが、実は脱走ではなくて突撃したもの、道案内…。その中で、集団自決という問題が出てきた。また、軍務に服せない16歳未満の取り扱いの問題と。
 渡嘉敷、座間味の集団自決が問題になり、私らはこの人たちを法律の中に適用するかしないかが大変だった。適用範囲にはめ込むのに苦労した。適用するしないの調査が僕の仕事だった。最初は認められなかったが、次第次第に拡大され、責任ある上司の「命令」があれば適用できるとなった。それが問題でね。私も昭和29年か30年ごろ、一週間渡嘉敷に泊まって調査した。
 戦時は島民は究極の人間の心理状態にあった。あんな小さな島を千数百隻の船が囲み、1万2、3000人の住民を3万人の米軍が包囲した。それは精神状態は異常になる。赤松隊長はそれを落ち着けようとして、敵の姿が見えないところに住民を誘導している。
 私は調査で、住民一人ひとりから「(自決の件は)お父さんがやったのか、お母さんが死のうと言ったのか、隊長が命令したのか」といちいち聞いた。沖縄には死んだらお墓で一緒に、という文化があるしね。本当に隊長の命令があったのか尋ねたが、そう答えた人は一人もいない。これは断言するよ。

 私 照屋さんは、赤松隊長は立派な人だと言っていますね

 照屋氏 十字架を背負うというのは、彼の行為のことだと思うよ。実は渡嘉敷の村長は私の友人だった。彼とも話し合い、「隊長が命令したという一言があれば、8000人~9000人の島民が全部、援護金をとれる」ということになった。だから、赤松隊長は神様なんだ。それで村長が赤松隊長から一筆もらった。昭和31年1月15日の閣議に出さないといけないから持ってこいと厚生省からは言われていた。間に合ってよかったねと、村長と二人でお祝いしたよ。

 私 そうした照屋さんの経験を地元紙は取材し、話も聞きにこないと

 照屋氏 (大江氏の沖縄ノートが引用した)沖縄タイムス刊の「鉄の暴風」は、本土に対する「沖縄をほったらかしにして…」という感情もあって、悪いやつらが流言飛語で流したことがもとになったんじゃないか。あの本の著者の一人はサイパン帰りで、サイパンで見た話とミックスしたのではないかと思う。その「鉄の暴風」を盗作して話を大きくした大江氏は、裁判でかけて罰するべきだと思うよ。沖縄タイムスは、自分たちの本(の正当性)を守るために、沖縄県民100万人以上に、今も誤解を与え続けているのだと思う。



何と言うか、マスコミってのも信用できないけれど、司法の世界も信用できなくなっているって事ですかね。
高裁で、どのような判断が下されるのか、興味を持ってみてみたいと思います。


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