カーキ色のチノパン・・・

7年位前の話です。富士山の近くにある会社に、仕事に行ったんです。
うちの上司のコネだかなんだかで・・・
『そこの会社の技術が進んでいるから、そこで場所を借りて設計しろ。最新の設計を教えてもらえ!』と(^^;)
なんだかよく分からん理屈でした。んで、選抜メンバー4名の中に私が選ばれたのです。


別に、技術は進んでなかったし(笑)

まあ、気は進まないけど、設計資料を車に積み込んで、そこの会社の空いてる会議室を借りて仕事をする事になった、その初日の事です。

会議室を片付けて、資料を車から運ぼうと、外に出たのですが・・・

梅雨の頃の富士山の裾野、とんでもなく深い霧が出てました。
午前中ですが、回りは真っ白でよく見えません・・・

駐車場に向かって歩き出した時、5m位前を歩いている人が見えました。
カーキ色のチノパン?それとも作業ズボンかなぁ・・・

この会社の人かなぁ・・・でも、たしかここの制服、紺色だったなぁ・・・
あっ!一緒にこっちで仕事することになったAさんかな。確かあんな色のチノパンはいてた。
そう言えば、背格好も似ているかも。

じゃ、荷物運ぶのを手伝おう。確か、Aさん私の車の横に止めてたし。


で、すこし早足で、Aさんを追いかけたのです。




がっ!・・・なぜか二人の距離が縮まらない・・・(^^;)

そして、カーキ色のチノパンは見えるんだけど、上半身は霧の中で見えないまま・・・


そのうち、私の車の横を通って、チノパンの人はその先に歩いていったのです
そして、霧の中に消えてしまいました。

『Aさんじゃなかったのかぁ・・・まあ、いいかぁ~』


ところで、この会社の駐車場って、そんなに広かったっけ?

まぁ、いいかぁ~(^^;)

荷物をとって会議室に戻ったら、カーキ色のチノパンをはいたAさんがいました。
『Aさん、今駐車場に行きませんでした?』
『いや、行ってないぞ』
まあ、会話はそんだけで、仕事したんです。

帰りには霧が晴れてました。

『あのチノパンの人はどこに行ったんだろ?』そう思いながら駐車場に戻って、チノパンの人が歩いていった方向を見たら・・・









私の車をとめた場所から、数メートル進んだところは、壁になってました・・・
























あのチノパンの人は・・・







壁に激突したのに違いない(笑)

その人に会ったのは、その時だけでしたけど、今でも時々歩いてるかも知れませんね・・・