5月17日、北京、晴れ。
『神奈川の空は嫌い』 |
彼女がそうつぶやいた。 |
僕は空を見上げた。天気が良いとは言えないけれど、雲の切れ間に青い空が見えている。 |
僕は黙って彼女を見つめた |
『だって、本当の空の色じゃないから・・・』 |
僕はまた空を見上げた。そして、鹿児島の空の色を思い出した・・・ |
彼女は、生まれ育った信州の空を思い出しているのかも知れない。 |
僕らは、黙って空を見上げていた。 |
『本当の星空が見たい』 |
ある夜、彼女はそう言った。 |
見上げた夜空、僕の近眼の目には、ほんの少しの星しか見えなかった。 |
僕は、彼女を助手席に乗せて、お気に入りの場所に連れて行った。 |
そこは足柄山の林道。近眼の僕の目にもたくさんの星が見えた。 |
彼女は少し落ち着いた。 |
『でも、星って、本当はもっといっぱいあるんだよ』 |
そういう彼女の横で、僕は黙って星を見つめていた。 |
僕は鹿児島の星空を思い、そして、きっと彼女は信州の星空を思い出していたのだろう。 |
長い出張から帰ってきたら、彼女は居なくなっていた。 |
電話が通じなかったのはそのせいだったのか。 |
彼女がどこに行ったのか、僕には分からない。だって、彼女の実家の住所さえ知らなかったし |
残されたのは、彼女と過ごした日々を撮った写真、そして彼女から手渡された彼女の部屋の合鍵。 |
そのほかは、記憶だけ。 |
彼女にもらった合鍵は、今でも身に着けている。お守りにさえなりはしないのに。 |
それを見るたび、そして、あの時のような空を見るたびに、ふっと彼女のことを思い出す。 |
今は、綺麗な空の下で暮らしているんだろうか・・・ |
あの頃僕が出張していたのは、韓国や台湾。 |
空を見上げるたびに思っていた・・・ |
日本の方が綺麗じゃんっ! |
さて、前置きが長くなりました。 |
5月17日 AM6:00 |
おそらく、空気が一番澄んでいる時間でしょう。 |
17階のホテルの窓から見た、北京の空です |
北京ってのは、空気の悪いところですね(^^;) |
これまで、一番空気が汚いのは台北だと思ってました。 |
北京の空気の悪さは、比べ物になりません。これはまさに『横綱相撲』ですよ。 |
もう、黄砂の影響は無いって事ですが、吸ってる空気に、粒子状のものが混じっているのが分かります。 |
こんなところに住んでたら・・・ |
絶対に呼吸器がおかしくなります |
多分・・・ |
到着した夜に星が見えなかったのは偶然じゃないでしょう。 |
北京の子供は、『星』の存在を知らないかも知れませんね |
『青い空が見たい・・・』 |
そんな事を言っていなくなった、Iちゃん・・・ |
『あれ?久しぶりぃ~私、今、北京で働いてるの♪』 |
なんて事になってたら・・・ |
地球の彼方までぶっ飛ばすっ!!! |