西郷隆盛終焉の地。

江戸時代から明治に歴史が変わる時、鹿児島はその原動力となった土地です。
明治維新の偉人として、鹿児島で今も敬われているのは西郷隆盛。鹿児島では、愛情を込めて『せごどん(西郷どん)』と呼ばれます。
しかし、その西郷隆盛は悲運の最期を遂げます。その過程は、『明治6年政変』から始まるわけです。
この時期のことを教科書では『征韓論を主張して敗れた西郷隆盛が野に下った』と教えるのですが・・・本当にそうだろうか・・・


明治4年11月、岩倉使節団不平等条約の改正と欧米の文化を学ぶために官費を使って1年10ヶ月の『外遊』を行う。その結果、不平等条約の改正、治外法権の廃止、関税自主権の回復などの目的は全く果たすことなく、欧米の文化をただ体験して帰って来た・・・岩倉使節団とは、大久保利通伊藤博文木戸孝允など、その後の日本の中心となる人々であった。

さて、この使節団が文字通りの『外遊』をしている頃、日本の政治は誰であったか。
当時の筆頭参議、西郷隆盛、参議 大隈重信板垣退助後藤象二郎、司法卿 江藤新平、外務卿 副島種臣など。
廃藩置県などに伴う困難な状況を処理しなければならなかった留守居役の成果は次の通り。

1、士農工商身分制度の廃止

 明治4年8月 9日 断髪・廃刀を許可
       17日 切捨てを禁止
       23日 華族・士族・平民相互間の通婚許可
       28日 エタ/ヒニンの称廃止。同、身分、職業の平民並化
    11月28日 全国徴兵の詔
    12月18日 華士族・卒の職業選択自由化
 明治5年1月29日 卒身分の廃止
   
2、基本的人権尊重
 明治5年3月    神社仏閣の女人禁制廃止。
     4月9日  僧侶の肉食・妻帯・蓄髪の許可。
     6月    ペルー船マリア・ルース号の清国人奴隷解放事件
     8月30日 家抱・水呑み百姓の解放、農民職業自由の許可
    10月 2日 人身売買禁止、娼妓・年季奉公人の解放
 明治6年2月    切支丹禁制高札の撤去 

3、耕作の自由、土地所有権の整備
 明治4年9月 7日 田畑勝手作(作付けの自由)
   5年2月15日 土地永代売買の解禁・地券渡方規則 
           近代的所有権(私有権)の承認 
   6年7月28日 地租改正。田畑貢納制の廃止、地券調査、地価の3%の金納地租
 
4、戸籍整備
 明治5年1月    全国戸籍調査

5、国民皆教育
 明治4年7月18日 大学を廃し、文部省をおく。
   5年4月25日 教導職を置き、教部省に配属させる。
     5月    陸軍兵学校幼年舎を改め、幼年学校とする
     8月 2日 『学事奨励に関する仰せ出され書』、学制公布

6、近代化の推進  
 明治4年11月   大阪-神戸間鉄道全線開通
     12月   東京-長崎間 郵便設置
   5年 4月   東京-大阪間 電信開通
      9月   新橋-横浜間 鉄道開通
     11月   大陽暦採用、国立銀行条例の制定

7、法治主義の導入
 明治5年10月 2日  太政官布告第295号 人身売買の禁止
     10月 7日  司法省達 第22号 養女名目の抜け道を許さず
     11月28日  司法省達 第46号 
             地方官の専権で人民の権利侵害された時は、人民は裁判所に訴えて
             救済を求められる


西郷隆盛を初めとする留守居役の上げた成果に対し、外遊組みは立場を弱める。そんな中、司法卿 江藤新平は長州派高官の汚職を追及する・・・
この頃、外遊組の伊藤博文が明治6年10月19日の手紙で『一の秘策』を大久保利通に伝える・・・

その数日前に辞表を出した西郷隆盛は、この一の秘策によって失脚する事に・・・


そして、明治10年、日本最後の内戦であった西南戦争に繋がるわけです。

今回、思い立って、西郷隆盛の終焉の地に行ってみようと、鹿児島の城山に行ってみました。

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城山の戦いで、消耗した西郷軍が最後に篭った洞窟がここです。

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崩落して一部分だけが残っているのか、ここの洞窟は奥行きの浅い、ただの窪みです。
このちょっと上残っている洞窟は、西南戦争当時のものでしょうか・・・

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中には小さな西郷さん

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ここで、西郷さんたちは戦いに傷ついた体を休めたのでしょうか

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このU字型の洞窟の出口には、戦死した薩摩の侍の慰霊碑があります

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西南戦争の頃、西郷軍が城山に作った防塁の写真も紹介されています。

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語りつくせない人物である西郷さん・・・私がここを訪れたとき、空には雷鳴がとどろき、そして、その音とは似合わない、やわらかい細い雨が降り始めました。
今のこの世の中、天から見ている西郷さんにはどのように見えているのだろうか・・・

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ここは、城山への上り口の途中、洞窟入り口の西郷さんの像が目印です。

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あと、若き日の西郷さんが、僧、月照と入水自殺を図り、助けられて蘇生した小屋。ここは、車が止められず、通りすぎるだけですが・・・

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明治6年政変については、こちらのページが詳しく書かれていますね⇒http://www.asahi-net.or.jp/~BH3H-SMJY/rekisi/mei6.htm