1945年  3月27日

本来なら、昨日気が付くべきでした。
1945年3月26日。この日が何の日か。そして、その翌日である3月27日、日本で何が起きていたのか。

忘れてはならない日なのでは無いかと思います。

1945年2月16日に始まった硫黄島の戦い、圧倒的物量で攻めてくるアメリカ軍に対し、孤立無援の形で戦いつづけた日本軍兵士達。

米軍が数日で陥落させると始めた戦いを、一ヶ月以上のゲリラ戦を続けた。

まさに、地獄のような日々であったろう事は想像に難くありません。

その硫黄島の戦い、日本軍による組織的戦闘が終結したのが3月26日夜。
栗林忠道中将と、市丸利之助少将が最後の突撃を行ったのが昨日であったという事です。

63年前の今日は、その最後の組織的戦闘から一日明けた日。
まだ、多くの日本兵が地獄のような一日を過ごしながら、孤独に戦っていた。

この戦いで多くの犠牲が出たことで、米軍は本土上陸作戦をとりやめ、その結果、日本は分割されること無く今日の姿があるのだとか。


2万人もの日本兵、その中にはは招集兵として集められた、30代、40代の兵士が多く含まれていたとか。そんな先人達の犠牲の上に、今の日本があることを忘れてはならないと思います。

ずいぶん前に紹介したのですが、この戦いで、最後に無線連絡が取られたのは3月17日。
同日付けで、栗林中将は大将に、市丸利之助少将は中将になられたとか。その時の最後の電文を以下に。




訣別の電文
戦局最後ノ関頭ニ直面セリ 敵来攻以来 麾下将兵ノ敢闘ハ真ニ鬼神ヲ哭(なか)シムルモノアリ 特ニ想像ヲ越エタル量的優勢ヲ以テスル陸海空ヨリノ攻撃ニ対シ 宛然徒手空拳ヲ以テ 克(よ)ク健闘ヲ続ケタルハ 小職自ラ聊(いささ)カ悦ビトスル所ナリ

然レドモ 飽クナキ敵ノ猛攻ニ相次デ斃レ 為ニ御期待ニ反シ 此ノ要地ヲ敵手ニ委ヌル外ナキニ至リシハ 小職ノ誠ニ恐懼ニ堪ヘザル所ニシテ 幾重ニモ御詫申上グ 今ヤ弾丸尽キ水涸レ 全員反撃シ 最後ノ敢闘ヲ行ハントスルニ方(あた)リ 熟々(つらつら)皇恩ヲ思ヒ 粉骨砕身モ亦(また)悔イズ 特ニ本島ヲ奪還セザル限リ 皇土永遠ニ安カラザルニ思ヒ至リ 縦(たと)ヒ魂魄トナルモ 誓ツテ皇軍ノ捲土重来ノ魁タランコトヲ期ス 茲(ここ)ニ最後ノ関頭ニ立チ 重ネテ衷情ヲ披瀝スルト共ニ 只管(ひたすら)皇国ノ必勝ト安泰トヲ祈念シツツ 永ヘニ御別レ申シ上グ

尚父島母島等ニ就テハ 同地麾下将兵 如何ナル敵ノ攻撃ヲモ 断固破摧シ得ルヲ確信スルモ 何卒宜シク申上グ

終リニ左記〔注:原文は縦書き〕駄作御笑覧ニ供ス 何卒玉斧ヲ乞フ

国の為 重き努を 果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき
仇討たで 野辺には朽ちじ 吾は又 七度生れて 矛を執らむぞ
醜草(しこぐさ)の 島に蔓(はびこ)る 其の時の 皇国(みくに)の行手 一途に思ふ



栗林中将は、最後の突撃の時に、自ら先等に立って戦ったとか。
そして、もう一人の市丸利之助少将。
最後の突撃の際に、死後、米兵が将校の死体を調べることを見越して、ルーズベルトに与うる書』を記し、部下の村上治重大尉に託していた。
その『ルーズベルトに与うる書』を以下に。




ルーズベルトニ与フル書

 日本海軍市丸海軍少将書ヲ「フランクリン ルーズベルト」君ニ致ス。我今我ガ戦ヒヲ終ルニ当リ一言貴下ニ告グル所アラントス
 日本ガ「ペルリー」提督ノ下田入港ヲ機トシ広ク世界ト国交ヲ結ブニ至リシヨリ約百年此ノ間日本ハ国歩艱難ヲ極メ自ラ慾セザルニ拘ラズ、日清、日露、第一次欧州大戦、満州事変、支那事変ヲ経テ不幸貴国ト干戈ヲ交フルニ至レリ。之ヲ以テ日本ヲ目スルニ或ハ好戦国民ヲ以テシ或ハ黄禍ヲ以テ讒誣シ或ハ以テ軍閥ノ専断トナス。思ハザルノ甚キモノト言ハザルベカラズ
 貴下ハ真珠湾ノ不意打ヲ以テ対日戦争唯一宣伝資料トナスト雖モ日本ヲシテ其ノ自滅ヨリ免ルヽタメ此ノ挙ニ出ヅル外ナキ窮境ニ迄追ヒ詰メタル諸種ノ情勢ハ貴下ノ最モヨク熟知シアル所ト思考ス
 畏クモ日本天皇ハ皇祖皇宗建国ノ大詔ニ明ナル如ク養正(正義)重暉(明智)積慶(仁慈)ヲ三綱トスル八紘一宇ノ文字ニヨリ表現セラルル皇謨ニ基キ地球上ノアラユル人類ハ其ノ分ニ從ヒ其ノ郷土ニ於テソノ生ヲ享有セシメ以テ恒久的世界平和ノ確立ヲ唯一念願トセラルゝニ外ナラズ、之曾テハ

 四方の海皆はらからと思ふ世に
          など波風の立ちさわぐらむ


ナル明治天皇ノ御製(日露戦争中御製)ハ貴下ノ叔父「テオドル・ルーズベルト」閣下ノ感嘆ヲ惹キタル所ニシテ貴下モ亦熟知ノ事実ナルベシ。
 我等日本人ハ各階級アリ各種ノ職業ニ従事スト雖モ畢竟其ノ職業ヲ通ジコノ皇謨即チ天業ヲ翼賛セントスルニ外ナラズ 我等軍人亦干戈ヲ以テ天業恢弘ヲ奉承スルニ外ナラズ
 我等今物量ヲ恃メル貴下空軍ノ爆撃及艦砲射撃ノ下外形的ニハ退嬰ノ已ムナキニ至レルモ精神的ニハ弥豊富ニシテ心地益明朗ヲ覚エ歓喜ヲ禁ズル能ハザルモノアリ。之天業翼賛ノ信念ニ燃ユル日本臣民ノ共通ノ心理ナルモ貴下及「チャーチル」君等ノ理解ニ苦ム所ナラン。今茲ニ卿等ノ精神的貧弱ヲ憐ミ以下一言以テ少ク誨ユル所アラントス。
 卿等ノナス所ヲ以テ見レバ白人殊ニ「アングロ・サクソン」ヲ以テ世界ノ利益ヲ壟断セントシ有色人種ヲ以テ其ノ野望ノ前ニ奴隷化セントスルニ外ナラズ。之ガ為奸策ヲ以テ有色人種ヲ瞞着シ、所謂悪意ノ善政ヲ以テ彼等ヲ喪心無力化シメントス。近世ニ至リ日本ガ卿等ノ野望ニ抗シ有色人種殊ニ東洋民族ヲシテ卿等ノ束縛ヨリ解放セント試ミルヤ卿等ハ毫モ日本ノ真意ヲ理解セント努ムルコトナク只管卿等ノ為有害ナル存在トナシ曾テノ友邦ヲ目スルニ仇敵野蛮人ヲ以テシ公々然トシテ日本人種ノ絶滅ヲ呼号スルニ至ル。之豈神意ニ叶フモノナランヤ
 大東亜戦争ニ依リ所謂大東亜共栄圏ノ成ルヤ所在各民族ハ我ガ善政ヲ謳歌シ卿等ガ今之ヲ破壊スルコトナクンバ全世界ニ亘ル恒久的平和ノ招来決シテ遠キニ非ズ
 卿等ハ既ニ充分ナル繁栄ニモ満足スルコトナク数百年来ノ卿等ノ搾取ヨリ免レントスル是等憐ムベキ人類ノ希望ノ芽ヲ何ガ故ニ嫩葉ニ於テ摘ミ取ラントスルヤ。只東洋ノ物ヲ東洋ニ帰スニ過ギザルニ非ズヤ。卿等何スレゾ斯クノ如ク貪欲ニシテ且ツ狭量ナル。
 大東亜共栄圏ノ存在ハ毫モ卿等ノ存在ヲ脅威セズ却ッテ世界平和ノ一翼トシテ世界人類ノ安寧幸福ヲ保障スルモノニシテ日本天皇ノ真意全ク此ノ外ニ出ヅルナキヲ理解スルノ雅量アランコトヲ希望シテ止マザルモノナリ。
 翻ッテ欧州ノ事情ヲ観察スルモ又相互無理解ニ基ク人類闘争ノ如何ニ悲惨ナルカヲ痛嘆セザルヲ得ズ。今「ヒットラー」総統ノ行動ノ是非ヲ云為スルヲ慎ムモ彼ノ第ニ次欧州大戦開戦ノ原因ガ第一次大戦終結ニ際シソノ開戦ノ責任ノ一切ヲ敗戦国独逸ニ帰シソノ正当ナル存在ヲ極度ニ圧迫セントシタル卿等先輩ノ処置ニ対スル反撥ニ外ナラザリシヲ観過セザルヲ要ス。
 卿等ノ善戦ニヨリ克ク「ヒットラー」総統ヲ仆スヲ得ルトスルモ如何ニシテ「スターリン」ヲ首領トスル「ソビエットロシヤ」ト協調セントスルヤ。凡ソ世界ヲ以テ強者ノ独専トナサントセバ永久ニ闘争ヲ繰リ返シ遂ニ世界人類ニ安寧幸福ノ日ナカラン。
 卿等今世界制覇ノ野望一応将ニ成ラントス。卿等ノ得意思フベシ。然レドモ君ガ先輩「ウイルソン」大統領ハ其ノ得意ノ絶頂ニ於テ失脚セリ。願クバ本職言外ノ意ヲ汲ンデ其ノ轍ヲ踏ム勿レ。
 市丸海軍少将




ここには、立派に戦った、武士の姿が見えるような気がします。
この先人達の犠牲の上に、今があることを、私たちは忘れてはならないと思います。




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