傷ついた兵士、大陸を歩く(5)
歴史の生き証人とも言える方と奇しくもめぐり合い、お会いしてお話を聞き、そしてその方が発表したいと
望んでいらっしゃったワードのデータを公開する事にしました。
当時20歳前後の新兵であった山崎直人さんの手記です。
昨日は文が長すぎたのか中途半端な場所で途切れました。重複した所から短めに引用していきます。
いずれにしろ、この手記に書かれた中国の日常は、日本軍と中国人の人たちが共存している事が
伺えます。言われているように、日本軍は、日本人は果たして残虐非道な人たちだったのか。
疑問が生じます。
(ブログ主記す)
①誤字、脱字には一切手を加えていません。
②原文は句読点の代わりにピリオドが使われているため、意味を取り違えないように句読点に変更
しています。
③会話であると分かる部分には『』を挿入しています。
傷ついた兵士、大陸を歩く(5)
ある部落に匪賊が居るとの情報で夜間行軍して包囲した。夜明けに敵弾投を各所から打ち込み私達は突撃した。
庭に赤ん坊をおんぶした10歳位の少女が死んでおり、奥に入り戸を開けると女性が私に拳銃を向けておる。
じっとにらみ返し、死んでいた子供の母親かなと考え、私は構えていた剣銃を横に振り
『ぞう、行け、かいかい』
早く私の支那語は出鱈目で有ったかも知れないが女性は裏戸を明けて見えなくなった。
部落には土手に 畑に穴を掘り其処に隠れ非難するのだ。この日の討伐も0であつた。
無線はこの部落の百メートルの所を通って居るが度々切られたそうである。
又かと電信隊が出かけて継ぐのであった。
歩兵部隊であるから戦は歩いて目的地まであごを出して行軍する。
必ずと其の後にインテリーの兵隊が何人か仮病室に入る。
私は負傷の手当で病室に行き彼等に何度か会い話しをして顔を見ておるので、割と気安く色々と聞く事が出来た。
私が、『今君達が一番求めたいのは何か』 と聞くと兵達は顔を見合わせて
『はい肉です。肉がが一番食べたいです』 『へえー肉ね』 何人かの兵隊は 同じく肉だとゆうのだ。
どんな肉 と聞くと 『この位で この位の厚さと2センチの厚さ』を親指と一指し指で示した。
『ほうそうか、君達は毎日食っておるのに、やはり大きいのがいいんだな』
私は考えた。
『今此処に肉が有ったとしたらどうするソースも無い』皆は考えて居たが 『塩しおだけでも美味しいんですよ』
こんな他愛も無い話をした。私は会話だけで借病室でたむろして居おる、兵隊に、
『じゃな 肉をくれるかお願いしてみるよ』 と病室を出て炊事場にいつた。
3年兵に、『病室の友達が肉が食べたいと言っておるから何とか都合して貰えないか』と話すと
『ああいいよ。いま入ったばかりだ、好きなだけ持って行け』
簡単に決まり、私は肉の塊を切って、塩もたっぷり掴み病室に帰った。
『ほうらもって来たぞ作るのは君達だ』 病人とはい得ない、喚声が沸き、短剣で10人分ぐらいにきり
元気をだして食ったそうである。
話ははずむ様になって来た。
一寸した町には男相手の商売がある。支那人相手のものが日本軍の兵士を引っ張る。日本からも女どもを引き連れて軍の後から負けじと付いて行く。北京の大学生なるインテリー女性が国に帰れないといつてそれらの仲間になっている。一体如何なっておるのか分らない。
直接お会いして話を伺ったときの事。傷病兵だからという事で、重労働には付かされなかったと
お話されていた事を思い出します。
その時の事。
『恥ずかしい話だから、家族には話してないけどね、慰安所の警備役をしていた事がある』との事。
『その時の話を聞いていいですか?』と私。いわゆる、広義の強制性という話か、と。
女性が逃げ出さないように監視する的な話かと思ったら・・・
『中には悪い奴がおってな。時間が過ぎても帰ろうとせん奴がいる。
女の人は、時間でお金をもらうわけだろ?居座られたら仕事にならん。
そこで俺らが銃をもって追い出すんだ。客は裸だからな(笑)』
なんだよ、守ってたのは女性のほうじゃないか。
ある日、四、五人の匪賊を捕らえたと情報が入った其の中に女性が一人おるとか。
簡単な裁きに答えなく 革命の歌を歌い手におえる者ではなかった
この女性が、結局男性相手の商売を始めてるという事か。
女性が逃げ出さないように監視する的な話かと思ったら・・・